数次相続とは? | 数次相続の基本をイラストで解説!
この記事の編集者

司法書士 小牟田 毅
司法書士法人COM事務所 代表司法書士
福岡県司法書士会所属
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この記事のアウトライン
- 数次相続とは、相続手続きが終わらないうちに次の相続が発生することです。
- ある相続の遺産分割協議などが終わっていないうちに、相続人の1人が亡くなると数次相続の状態になりますが、複数の相続手続きを行うことになるため手続きが煩雑になりがちです。
数次相続をイラストを使って解説!
数次相続とは、ある相続の遺産分割協議などが終わっていないうちに、相続人の1人が亡くなり、次の相続が発生することを指します。数次相続が発生したら、はじめに発生した相続を「一次相続」、その次に発生した(またはこれから発生する)相続を「ニ次相続」といいます(さらにこれ以降に発生した(これから発生する)相続を三次相続、四次相続・・・といいます)。
二次相続で亡くなった相続人(二次相続の被相続人)は一次相続の際の被相続人の相続人なので、一次相続の相続分を引き継いでいます。実際によくある例でこのことを見ていきましょう。
夫婦と子2名の場合の数次相続

エフさんが20XX年1月30日に亡くなりました。エフさんの法定相続人は、エフさんの妻と子2名の計3名です。

エフさんが亡くなった年と同じ年の20XX年10月1日に、今度はエフさんの妻が亡くなりました。
エフさんが亡くなった後すぐにエフさんの奥さんが入院したこともあり、エフさんの相続の遺産分割協議は終わっていませんでした。このような状態を数次相続といいます。
イラストでは、エフさんの奥さんは青色の丸(エフさんの相続)に囲まれています。一方、エフさんの子の2名は青色の丸と黄色の丸(エフさんの奥さんの相続)に囲まれています。つまり、仮にエフさんの子を「兄」と「弟」とすると、兄と弟は青色の丸と黄色の丸の2つの相続の手続きをしないといけません。
数次相続の手続きは通常の手続きとどう違うのか?
このように、兄と弟はエフさんとエフさんの奥さんの2名の相続の手続きをする必要があります。
エフさんの奥さんの相続手続きは、通常の相続手続きと同じです。
この2つの相続手続きはどこが違いは、遺産分割協議書の記載で出てきます。
まずはエフさんの奥さんの相続手続きに使用する遺産分割協議書例の冒頭を見てみましょう。
遺産分割協議書
被相続人 (エフさんの奥さんの氏名)
出生日 XXXX年XX月XX日
死亡日 20XX年10月1日
最後の本籍 福岡市XX区XXXX番地
被相続人(エフさんの奥さんの氏名)が死亡したため、(エフさんの奥さんの氏名)の共同相続人全員は、被相続人の遺産を協議により下記のとおり分割した。
(以下略)
上記のように、被相続人としてはエフさんの奥さんしか記載されません。
次に、エフさんの相続手続きに使用する遺産分割協議書例の冒頭は以下のようになります。
遺産分割協議書
被相続人 エフ
出生日 XXXX年XX月XX日
死亡日 20XX年1月30日
最後の本籍 福岡市XX区XXXX番地
相続人兼被相続人 (エフさんの奥さんの氏名)
出生日 XXXX年XX月XX日
死亡日 20XX年10月1日
最後の本籍 福岡市XX区XXXX番地
被相続人エフが死亡し、その後エフの相続人兼被相続人(エフさんの奥さんの氏名)が死亡したため、エフ及び(エフさんの奥さんの氏名)の共同相続人全員は、被相続人の遺産を協議により下記のとおり分割した。
(以下略)
このように、エフさんの相続の遺産分割協議書には、エフさんの相続人であるエフさんの奥さんも死亡し、エフさんお奥さんは分けて記載され、エフさんの奥さんの相続人(エフさんの奥さんの子2名)も遺産分割協議に参加していることが分かります。
つまり、数次相続が発生したら、初めの相続と次以降の相続を区分けして手続きにあたることが大切です。
なお、この例ではエフさんとエフさんの奥さんの遺産分割協議に参加すべき相続人が一致している(子2名)ので、エフさんの奥さんの財産に関する遺産分割協議を同時に行なっても構いません(例えば、奥さんの預貯金の遺産分割のことを上記のエフさんの相続の遺産分割協議書に記載することができます)。
数次相続が連鎖的に発生するとどうなるか
この記事の最後に、数次相続が連鎖的に発生するとどうなるかを、イラストを通して視覚的にみていきましょう。

先ほどの例と同じように一次相続が発生しました。相続人は(青の丸で囲まれた)奥さん、子2名の3名のです。

一次相続の遺産分割協議が終わらないうちに一次相続の相続人である長男が亡くなり、二次相続が発生しました。
長男の相続人は(黄色の丸で囲まれた)長男の妻と娘ですが、長男の妻と娘は長男の一次相続の相続分も引き継いでますので、青の丸でも囲まれています。

長男が亡くなった3か月後、今度は一次相続の被相続人の妻(長男二男から見れば母)が亡くなりました。
長男二男の母の相続人は(ピンクの丸で囲まれた)二男と長男の娘です。
長男二男の母の相続人は、本来はその子の長男と次男のはずですが、長男は母より先に亡くなっているので、長男の娘が長男に代わって相続人になります(代襲相続:民法887条2項)。

三次相続の3か月後、今度は(一次相続の被相続人からみて)二男が亡くなりました。
二男の相続人は(緑の丸で囲まれた)妻と子2名の計3名ですが、その3名は二男が相続した一次相続の青の丸と、三次相続のピンクの丸でも囲まれているのが分かります。
遺産分割協議をしないうちに次の相続が発生すると、次々にあとの相続人に引き継がれていくことが分かるかと思います。
ここでは、分かりやすくするために相続と相続の日数の間が空いてない例を示しましたが、実際には何年も前の遺産分割協議をあとの世代の相続人がしないといけなくなるケースもあります。
このように、遺産分割協議など相続の手続きを後回しにすると、関係人が増えて複雑になることは覚えておきましょう。
編集者より一言
ーEditor’s Wordsー
- 相続手続きを後回しにすることで、後回しにしたこと以上に負担が重くなることがあります。
相続の「困った」「気になる」のご相談予約をお受けします
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