遺産分割協議の具体例と進め方のポイントを解説!

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司法書士 小牟田 毅

司法書士法人COM事務所 代表司法書士
福岡県司法書士会所属

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遺産分割協議のアウトライン

  • 遺産分割協議は相続人同士の話し合いです。
  • 法定相続人「全員」で被相続人の財産について話し合いますので、認知症や行方不明の方も遺産分割協議の当事者になります。
  • 話し合いは対面以外に手紙、電話、メールなどでも良いとされていますが、原則法定相続人全員の合意が必要です。

遺産分割協議とは?

遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)とは、法定相続人全員で亡くなった人(被相続人)名義の財産の分割方法や分割割合を話し合うことです。財産は不動産や預貯金などのプラスの財産のほか、借金や入院費などの未払金(負債)などというマイナスの財産も含み、法定相続人間で負債の負担先を決めることができますが、それはあくまで法定相続人内だけでの話であり、そのことを貸主や未払金支払い先などの債権者には主張することはできません。また、遺産分割協議は、対面での話し合いのほか、手紙、電話、メールなどで行っても、法定相続人全員の同意があれば良いとされています。
 
 遺産分割協議は法定相続人「全員」で行う必要があります。法定相続人の中に認知症や行方不明の方がいても、その方々も遺産分割協議の当事者になります。法定相続人の中に認知症や行方不明の方がいる状態で遺産分割協議をすすめるために、成年後見(民法第7条等)や不在者財産管理人(民法第25条)の制度を利用することがあります。

 また、遺産分割協議を終えたら、遺産分割協議書を作成し法定相続人全員が署名又は記名捺印し、あとで遺産分割協議の内容を証明するようにしておくことが重要です(実務的にも、不動産の名義変更(相続登記)や銀行の預貯金の解約時に遺産分割協議があったことを証明することが必要となります)。

遺産分割協議の具体例

遺産分割協議の具体例を図解していきます。

具体例を図解 (※押すと閉じます)

エフさんは、生前に奥さんに対して「私が死んだら私の財産は全てお前名義にして良い」と伝えていました。しかしエフさんは遺言書を書いてはいませんでした。

財産を渡すと妻に告げる画像

その後エフさんは亡くなりました。エフさんの奥さんは「生前にお父さんは財産を私名義にすると言ってた」と司法書士に相談しましたが、司法書士に「エフさんは遺言書をのこされてないのでその約束は無効です」と言われてしまいました。
※2025年5月2日追加
エフさんの「私が死んだら私の財産は全てお前名義にして良い」に対する奥さんの「OK!」で、夫婦間の「死因贈与契約」が成立しています。とはいえ口頭契約なので第三者に対して証明することが難しいかもしれませんが、そのことに当初は言及しておりませんでした。これは懇意にさせていただいている弁護士のK先生のご指摘により気付かせていただいたものです。K先生ありがとうございました。

司法書士に無効と告げられる画像

エフさんの法定相続人は奥さんと子供たち3人。子供たちは「お父さんがお母さんに財産を渡すと言ってたならそれでいい」という雰囲気でしたが、それでなんとなく皆納得し、4人で遺産分割協議という話し合いをするまでには至りませんでした。

エフさんの相続関係説明図

それから10年後。エフさんの奥さんは施設に入居しました。
エフさんの長男は空き家になった実家の売却をしようとしましたが、実家の名義がまだエフさん名義になってることに気づきました。「相続が発生したら不動産の名義を相続登記で変える義務がある」ことを知ってたエフさんの長男は、実家の名義変更をしようと、まずは自分を含むエフさんの法定相続人4名で遺産分割協議を行おうとしました。

家の名義がエフさんの画像

しかし、エフさんの奥さんは認知症を発症していて、もはや話し合いをすることができませんでした。また、エフさんの次男は「財産放棄するから俺は何もしなくてもいいはずだ」と言って話し合いに加わろうとしません。エフさんの長女は海外に住んでいて、相続の手続きには協力的です。ただ、住所を海外に移しているので、どうやって遺産分割協議をすすめればいいのか分かりません。エフさん名義の実家の相続登記は、まだしばらく時間がかかりそうです・・・。
(具体例の解決方法を知るには、次の「遺産分割協議のすすめかたのポイント」にすすんでください)

遺産分割協議ができない画像

遺産分割協議のすすめかたのポイント

  • 相続が発生して遺産分割協議をしないでいると、当時と状況が変わって話し合いがすすまなくなることがあります。また、遺産分割協議が未了の間に相続人が死亡すると、死亡した相続人の配偶者や子などの相続人が被相続人(具体例のエフさんのような人)の相続人になり、遺産分割協議の当事者が増えることになります。遺産分割協議はなるべく早く行いましょう。
  • 遺産分割協議は法定相続人全員で行う必要があります。ある相続人が「財産放棄する」と宣言しても家庭裁判所に対して行う相続放棄の手続き(民法第938条)をとらない限り、その人は何もしなくても良くなる訳ではなく他の相続人と同じように遺産分割協議に参加して、遺産分割協議書への署名捺印(+印鑑証明書の準備など)が必要です。「財産放棄する」と宣言しただけの相続人には、家庭裁判所に対して相続放棄の手続きをとってもらうか、遺産分割協議に参加する必要があることを理解してもらうことが重要です。
遺産分割協議への署名依頼の画像
  • 法定相続人に認知症などで意思表示ができない(※物事を適切に判断したり自分の行ったことを理解できないような状態です)人がいる場合で遺産分割協議をすすめるには、その法定相続人に家庭裁判所から「成年後見人」を選任してもらい、その成年後見人が遺産分割協議に参加する必要があります。
家庭裁判所に成年後見人を選任してもらう画像
  • 法定相続人に海外在住の人がいても、遺産分割協議をすすめることはできます。
    相続人がアメリカ在住であれば、例えば電話やメール等で遺産分割協議を行い、アメリカ国内の日本大使館(領事館)で相続のための書類(例えば遺産分割協議書など)にサインし、その証明書をなどを取得することになります。
日本大使館に行く画像

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